抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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クーロン相互作用の効果の大きな現実物質の物性を予測し,現象のメカニズムを解明する上で,汎用性が高い高精度計算手法を開発し応用を展開することを目標とした。応用対象として遷移金属化合物,有機化合物を中心とし,物理的に興味ある物質群に対する電子状態計算法の開発実装を目指した。このためにマルチエネルギー階層構造を意識した上で,低エネルギー側と高エネルギーでの物理の橋渡しを行い,低エネルギー側に要求される高精度と高エネルギースケール全体の計算効率とを両方実現する手法(Multi-scale Ab initio scheme for Correlated Electrons (MACE))を開発,改良し,実用に供するところまで研究を進めた。電子相関の強い電子系に対する第一原理的なMACEを多様な工夫とともに包括的に開発,整備し,汎用的に使えるようにした。強相関電子系の持つ階層構造を利用し,部分状態和を取った後の低エネルギー有効模型を解いた。鉄系超伝導体の物性解明のためにMACEを適用し,鉄系超伝導体が中程度に電子相関の強い系であることを第一原理的に立証し,鉄系超伝導体の電子相関の役割についての論争に決着をつけた。MACEの広範な物質群へ応用した。