抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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具体的な対策案の検討にあたり,発生している不具合状態をどのように判断するか,原因を何に求めるのか。技術者の不具合に対する「見立て」が,製造業の不具合抑制の重要な要素の一つであると考えている。ダイカスト製品の不具合は,外観不具合と内部欠陥に分けられる。ここでは鋳巣を例に考えてみたい。ブローホールかひけ巣かの判断は,既存の理論,データ,経験などをもとに鋳巣の断面形状や拡大した表面性状,発生場所の形状・肉厚などから検討する。しかし,それで不具合の抑制がうまくいっているのかというと,とても完全とは言えないのが実情ではないか。疑いをもち,ときには不具合形態の判断を下さない選択が必要であると考えた。鋳巣の形や性状,発生個所を分析し,鋳巣の素性判断を高い確率で確定できない場合には,不具合形態を決めつけて対策を施すのではなく,あくまで「鋳巣」と捉えて策を練ることを実行している。理想の状態,ありたい状態との差を縮めていく対策をとる。具体的には,製品の「質を高める」方策を検討し実行する。「不良品の発生を減らす」とは考えない。既存の理論や過去の経験に寄り添いながら,捉われすぎず,さまざまな可能性を排除せず,パラメータ同士の相互作用に想像力を働かせ,手持ちのデータを徹底して分析し,自社なりの理屈でできる限り数値で思考し,仮説を立てて狙いを定め,検証していく。これを続けることで自社の理論を確立させていく。既存の理論,経験や思い込みに頼るあまり,思考停止に陥らないよう注意したい。