抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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ブラックホール(BH)の直接の観測は,天文学における大きな挑戦の1つであり,非常に長基線の干渉(VLBI)観測により近い将来達成されるであろう。このような観測では,BHシャドウと呼ばれるBHのまわりの光学あるいは電波源の像が観測されることが期待されている。Schwarzschild時空のようなBH時空では,光子の不安定円軌道が存在し,シャドウ生成に重要な役を果たしている。しかし,光子の不安定円軌道を有する超コンパクト天体が存在すれば,光子を観測することによりBHと区別することは困難である。この論文では,超コンパクト天体として,BHに代わる星の重力崩壊の新しい終状態であるMazurとMottolaによって提案されたグラバスター(重力的真空星)を考えた。グラバスターは完全流体ではないため,異方的圧力が存在し,そのため2つの型の模型が知られている。ここでは,議論をはっきりとさすため,内部de Sitter幾何と外部Schwarzschild幾何を球状の薄い殻でつなげるVisserとWiltshireによって発展された模型を用いた。この模型で,光子の不安定軌道がグラバスターのまわりに現われうることを示した。このようなグラバスターの光学像を,電磁相互作用をしない光学的に透明な表面を仮定し,グラバスターの後ろに無限に広がる光学平面と伴星の2つの型の光学源を仮定して調べた。無限に広がる光学平面の場合の像の主な特徴は,グラバスターの場合は,明るい円盤とそれを囲む暗いリングが領域の中心に現われ,Schwarzschild BHの場合は,その領域が完全に暗くなり現われないことであることを示した。伴星の場合には,グラバスターの場合は,小さな円盤とそれを囲む弧形が現われ,Schwarzschild BHでは,その領域がレンズ効果で完全に暗くなることも示した。どちらの場合でも,グラバスターの内部に典型的な像が現われるため,BHとグラバスターは,近い将来の高精度のVLBI観測によって判別できることを示した。