抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本稿では,明和製作所が地元(糸島市・観光協会・九州大学)と連携して開発している,超小型モビリティ事業を紹介する。明和製作所は,モータに関する高い技術力をもち,レアアース/永久磁石を使わないブラシレスモータであるスイッチドリラクタンス(SR)モータを開発した。SRモータは,低回転時のトルクが小さいことと,騒音・振動が大きいことが課題であるが,永久磁石を使わすに済むため,将来技術として期待が大きい。そこで,2人乗り超小型電気自動車(EV)を開発し,福岡市で実証実験を行ってきた。超小型モビリティとは,交通の抜本的な省工ネルギー化とともに,高齢者を含むあらゆる世代に新たな地域の手軽な足を提供し,生活・移動の質の向上をもたらす,省エネ・少子高齢化時代の「新たなカテゴリー」の乗り物である。自動車よりコンパクトで,地域の手軽な移動の足となる1人~2人乗り程度の車両を想定している。しかし,軽自動車なみの装備と安全対策をして,それ以下の価格を実現することは困難であり,実用化の見通しは立っていない。明和製作所は,2人乗りEVを使って,2013~2014年度に超小型モビリティレンタルを福岡市白糸の滝付近の広域基幹林道で実施した。その後も,2人乗り小型EVのほかに,観光産業活用事業の一環として,前原駅前からの電動バイクのレンタル事業を実施し,糸島半島に42か所の充電スポットを設置した。事業は,2015年3月で終了したが,充電スポットは継続しており,電動自転車レンタサイクルなどに使用されている。超小型モビリティの普及は,低炭素社会の実現や,人口減少や高齢化といった環境変化に直面している地域社会における新たな移動手段となる可能性とともに,自動車産業に新たな市場を創出するものとしても期待されている。早期に2人乗り小型EVの車両規格が創設される(軽自動車規格とは一線を置く電動ミニカーや電動トライクに近い形)ことを期待したい。