抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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輸入に依存する食料の輸入途絶等の量的変動リスクについて,川下産業の生産に影響が波及する前方連関効果を計測するGhosh型モデルに,ボトルネック型モデルの考え方を組み込んだモデルを開発して,産業連関分析により影響試算を行った。分析の対象とした麦類,豆類,飲料用作物,その他の食用耕種作物,金属鉱物の5部門の中で,経済全体への影響が最も大きいのは,金属鉱物が輸入途絶した場合で,生産額が約40兆円,減少率は約4.5%と試算された。食料4部門の中では,原料としての直接の仕向け先であるでん粉,植物油脂,飼料等からさらに波及して,食品製造業のみならず,農林水産業,外食産業,一般製造業等多部門に経済的影響が連関していく,とうもろこしを含む「その他の食用耕種作物」部門が輸入途絶した場合に,他の食用向け需要の比率が高い麦類,豆類,飲料用作物の3部門と比較して,とりわけ大きな影響が予想されるとの試算結果となった。経済的な被害を最小限にするとのリスク管理の視点から,その他の食用耕種作物の安定供給確保が特に重要であることが示唆される。短期的な需給変動に備える飼料穀物備蓄対策のみならず,中長期的な視点では,需要家である畜産部門等にとっても合理的な価格を実現して,輸入代替財の国内生産を促進すること等が,輸入に付随する供給障害リスクを低減することに繋がろう。(著者抄録)