抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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日本全体の人口が減少に転じた一方,首都圏への人口集中化は依然として続いている。総務省の人口移動報告によれば,2014年の首都圏(一都三県)への転入超過は109,408人に達した。転入超過は7都県のみであつた。鉄道の年間輸送人員は,民鉄,JRともほぼ20年前の水準にとどまる。鉄道では近年,上昇傾向も伺えるが,実際のところ,堅調に伸びているのは首都圏のみである。地方の鉄道は概して苦しい経営状態にある。1990年度前後のJRを除き低落傾向にあり,とりわけ地方の民鉄の輸送量は1975年度以降,半減している。地方公共交通のもうひとつの柱である路線バスは全体としては長期低落傾向を脱していない。2013年12月4日,交通政策基本法が公布・施行された。同法は交通全般に関する基本法であり,公共交通のみを対象とするものではないが,公共交通政策にとっても重要な拠り所となる。本文では同法制定の経緯と概要を述べた。公共交通機関が退潮的傾向にあるなか,低炭素社会の実現・都市環境改善への志向をはじめ,人々(とりわけ公共交通に依存せざるを得ない学生や高齢者)のモビリティを確保し,更には都市中心部活性化の手段としても公共交通は不可欠な存在である。今日では国・地方という「公」が都市・地域の交通の整備や運営に積極的更には直接的に関与して,公共輸送人だけでなく公的主体によっても積極的に支えられた文字通り公共のための交通としての側面を獲得しつつある。