抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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鋳鉄金型の必要部分だけを焼入れするには,鋳鉄が低融点材料のため温度制御が難しく,そのミクロ組織は鉄-炭素-ケイ素合金マトリックス中に黒鉛相をもつもので,焼入れ用としてはマトリックスをパーライトにしておく必要がある。鋳鉄材料への最表面への焼入れ法の確立には,鋼でのミクロ組織シミュレーション技術を基本として,レーザー処理による鋳鉄組織中での黒鉛相からの炭素の拡散を考慮に入れた変態予測が必要となる。「レーザー技術を利用した金型イノベーションに関する戦略策定」を目的とした調査研究を,平成26年度に一般財団法人機械システム振興協会が一般財団法人素形材センターに委託し,一部を大阪府立大学に再委託する形で進めた。大阪府立大学への再委託は,超低ひずみ処理と言われる,レーザー焼入れを,複雑形状をもつ金型必要部分に施すことによるひずみのシミュレーションのため,大容量計算を可能にする理想化陽解法への組織予測アルゴリズムの組込みとその実験的検証である。理想化陽解法による大規模データ解析が可能になり,個々のレーザー焼入れ事例での金型のひずみや残留応力の状況を知るためのツールは完成した。金型のレーザー焼入れの課題は,熱処理に適した大出力半導体レーザー発信器が国内で産業用に製造されていないことと,レーザー照射条件と表面硬化の関係の予測ができないことである。レーザーで金型表面硬化を行う場合は,現在行われている照射手順のティーチングの簡素化が必須である。今回の調査研究で,相変態を組み込んだミクロ組織予測とそれによる硬さ予測と残留応力と,ひずみ予測の基礎的ツールの使用が可能となり,これらの課題克服の指針は得られるようになった。