抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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ファーン川はタイ北部を流れるメコン川の支流の1つである。この流域では1980年頃から大規模な森林伐採と農地開発が行われ,農薬による水質汚濁,保全林の破壊,大気汚染などが発生した。本論文では,この地域で行った水質調査結果について述べるとともに,周辺の地質や土地利用の関連について述べた。論文では最初にファーン川流域における9カ所の水質測定地点とファーン川へ流入する3本の支流の水質測定地点を示すとともに,ファーン川流域地質図を示した。測定項目はpH,電気伝導度,COD,硬度(カルシウムとマグネシウムイオン濃度から算出),7種類の陽イオンと7種類の陰イオンの濃度であった。ファーン川の水質は水源から20 km付近まで,溶存イオンが少ない清流であるが,そこから33 km付近の農業用水のダムまでに石灰岩地域を流れる硬度の高い支流が合流し,硬度と電気伝導度が急激に上昇していた。40 kmを過ぎると,支流の流入が減少し,硬度と電気伝導度は低下した。またダムを通過すると,ナトリウムと塩素イオンの濃度が増加したが,これは岩石(斜長石)由来であると推定した。さらに肥料や下水の流入により増加する硝酸塩イオンは常に低い値を示していた。ファーン川の水質は健康被害を引き起こすようなレベルでなかったが,今後継続的に監視していく必要がある。