抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
本研究ノートの目的は,ビッグデータの法的帰属の分析と利用に係る課題の提示である。まず,ビッグデータの性質を,「自動生成される記録の履歴(ライフログ,天候等)」,「対象物に対して発生する膨大な情報(バイオミメティクス,バイオミミクリー等)」に分類した。次に,ビッグデータを生成するメガ・システムそのものは非構造化データを含むため,データベースの著作物ではないが,メガ・システムから利用の形態に沿って構造化した二次的ビッグデータは,データベースの著作物となり得ると考察した。「自動生成される記録の履歴(ライフログ,天候等)」の二次的ビッグデータについて,ライフログ等一次的ビッグデータを構成する情報の発信者を,自然人とすれば,法の適用において,自然権に由来する財産権が発生すると考えられる。よって,その利用には一定の制限がかけられると考えられる。一方,天候等機械的に生成されるビッグデータは,その「二次的ビッグデータを構成するデータ」に自然人に由来する財産権が発生しないといえる。その「二次的ビッグデータを構成するデータ」を自然界に存在する情報構造と同一とするならば,一次的ビッグデータを制限することはできないと考えられるが,二次的ビッグデータに加工した場合,特許権等で財産権が付与される可能性があるとした。また,データベースの部分を構成する著作物が「対象物に対して発生する膨大な情報(バイオミメティクス,バイオミミクリー等)」であれば,それらの一次的ビッグデータを営業秘密として囲い込むことで情報の非対称性を意図的に引き起こすことが可能になると考えられる。これらを踏まえ,ビッグデータの問題は,個々の情報ではなく,二次的ビッグデータとして構造化された集合体(パッケージ)の帰属であるとした。(著者抄録)