学校評価の実施には未だ多くの課題が残されているが,その解決の方略として,Getting To Outcomes(GTO)と呼ばれるツールの適用が検討されてきている。GTOは,プログラムの計画,実施,評価,改善までを包括する実践的ツールとしてコミュニティ心理学,評価学,実践科学などの学際的な背景から生まれたものであり,10のステップからなる具体的かつ体系的なマニュアルとワークシートによって構成されている。またGTOには,使用するコミュニティの政策・制度,関連する理論や知見,風土や資金などの状況に合わせて内容を再構成し改訂版を開発することが可能な汎用性があり,近年では,相互作用システムフレームワークと呼ばれる,GTOを再構成するための枠組みも提案されている。本論文でこの枠組みに基づき,学校評価に関する先行研究や施策から学校評価の実施に必要な要素を抽出,GTOへ統合し,学校評価の実施に求められる知識や手順を体系的,包括的に提示する「学校評価版GTO」の開発を試みた。(著者抄録)