抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
2011年3月に発生した東北地方太平洋沖地震に伴い発生した津波によって,大船渡湾の湾口防波堤が流失した。大船渡湾は水質改善に対して多大な努力を行ってきた水域であり,湾口防波堤の復旧に際しては,環境への配慮が重要であると考える。環境に対する配慮として,如何なる対策が有効であるかの検討に対して,現状の湾口防波堤が無い状態での水環境特性を把握し,湾口防波堤がある状態との比較を行うことは非常に有用である。そこで,本研究は,現在の湾口防波堤が無い状態での観測を実施し,湾口防波堤が無い状態での水環境特性を明らかにすること,および環境に配慮した湾口防波堤の復旧を考える際の留意点を明らかにすることを目的とする。現地観測は,2012年9月18日から10月23日および2013年7月26日から11月25日にかけて,水質,底質,および流況に関して行った。調査の結果,次のことが明らかとなった。水質に関しては,1)湾口防波堤が無い状況では,貧酸素水塊は形成されなかった,2)底層のDO濃度は,湾口防波堤がある状況と同じ減少率で低下していた,3)月に数回の頻度で突発的に流入する湾外水の影響によって,貧酸素化は免れていた。底質に関しは,1)底質は,被災前後でほぼ同じだった,2)撹乱・再堆積の痕跡は,約20cmまであった。流況に関しては,湾口防波堤が無い状況の平均的な流況は,表層から水深4mは流出,水深4mから水深15mは流入,水深15mから底層までは流出の3層構造だった。これらのことから,環境に配慮した湾口防波堤の復旧を考える際には,下層の流れの阻害を低減し湾内低層の低水温化を防ぎ,および突発的に湾外の底層から入ってくる低水温水塊が流入し易くする技術開発が重要であると考えられた。(著者抄録)