抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究では,中国遼寧省の経済の現状と環境負荷の間に,いかなる数量的な関係があるのかを産業連関分析手法を用いて明らかにすることを目的とする.中国では,CO2排出量が増大し続けており,中でも,伝統的重工業基地である遼寧省のCO2の排出量はかなり多く,今後も増大していくと思われる.しかし,中国では省レベルの経済活動におけるCO2排出についての研究はないので,遼寧省について分析を行った。まず,中国政府機構が公表した「2007年中国産業連関表」,「中国統計年鑑」と「中国能源統計年鑑」などのデータを使用して,独自に「2007年遼寧省環境産業連関表」を試作した.次に,それに基づき,地域内需要と輸出需要による各需要部門のCO2排出量を明らかにした.これらの考察に基づき,遼寧省の地域内の持続可能な環境政策を提案した.今回の研究により,中国遼寧省におけるCO2排出量が一番多い産業は,電力・熱供給産業であり,鉄鋼,石炭,金属製品などの重工業の排出も多く,省内総排出の8割以上を占めていることが明らかになった.また,遼寧省のCO2総排出量は,81,380万トンであり,生産過程により44,330万トンが排出され,住民生活により1,001万トンが排出されている.地域内の持続可能な環境政策については,単位CO2排出量を削減するため,石炭,原油・天然ガスなどの直接排出係数が高い産業では,エネルギー投入構造を変更することと,直接投入したエネルギーを効率的に使用することが重要である.残された課題としては,第1に,使用した産業連関表の部門分類が細かくないため,検討に限界があることである.第2に,中国の地域間産業連関表は産業部門が6つしかなく利用価値が低いので,それを使えずCO2の地域間の排出を明確にすることができなかったことである。本研究の特徴は,中国における省レベルの環境産業連関表を試作したことである,これまで,中国全体の環境産業連関表の作成例として,1995年に日本の通商産業所と中国国家統計局とが共同で中国の「環境分析用産業連関表」を作成しているが,中国の一省一市の研究は,大幅に遅れていた。