抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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都市域は,かつて村落域だった場が変容し形成された。都市域の水環境としては,河川と池が身近な存在である。都市河川は,かつて川が果たしてきた多くの役割を失い,排水路となって治水の視点が重視されている。池は天然池沼ではなく,ため池起源のものが多く,農業灌漑等の用途廃止を経て修景用の公園池となっているものが多い。水辺の移行帯が欠落した池では,在来水生植物が消失して生物の生息空間の多様性が損なわれた。生息空間の劣化に伴い,水辺の生きものたちの多様性も限定的となっている。人工的に築造されたため池の水環境保全には,水干し・かいぼり等の撹乱が寄与してきた。村落域で培われてきた「かいぼり」等の維持管理も現在ではなされなくなり,管理技術の継承も途絶えて久しい。捕食・被食の食物網が単純化した都市域の池や川は,外来種が侵入・定着しやすい環境である。維持管理に伴う人為撹乱が抜け落ちている都市域の水環境を再生・保全させる鍵は,人をも組み込んだ生態系の復興・再構築を通じた復元力の再生にある。(著者抄録)