抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本稿では,中小企業によるM&Aの実態把握のための調査結果を報告する。M&Aは重要な経営手法の1つであり,大企業では,90年代後半から一般的な経営手法として定着してきているが,中小企業によるM&Aの事例はあまり多くない。しかし,国が進めている地域創生の取組み等では,地域産業の中核を占める中小企業の活性化が必須の課題であり,M&Aは企業の経営向上の手段でとして必要に応じて活用することが望ましいと考えられる。そこで,本調査では中小企業におけるM&Aの活用促進を検討するため,M&A経験を有する中小企業へのインタビュー調査を実施したので,その結果の一部を紹介する。調査結果からは,M&Aを経営手段として想定している中小企業は少ないことがわかった。しかし,2つの事例では,M&Aによって事業拡大を成し遂げており,自社の事業計画に合致するなどM&Aのメリットが明確であれば,課題を乗り越え,M&Aを実行に移していることもわかった。こうした「良縁との出会い」が中小企業におけるM&A推進のキーファクターの1つと思われる。実施上の課題としては,先方を十分に把握できないという,「情報の非対称性」が存在していた。当然ながらM&Aの採用で,必ず事業が成功するという保証はないが,事例が示すようにM&Aでは,自ら事業を立ち上げる場合とは異なる成果が得られる可能性がある。そのため中小企業においても,M&Aを経営手段の1つと認識し,状況に応じて活用していくことに意義はあると考える。