抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
古資料の再検討と日本中世気象災害史年表稿(藤木久志,高志書院(2007))を基に,小氷期中期にあたる12世紀~16世紀の気候変動の復元を試み,気候変動の社会的影響を検討した。古資料には自然に残された記録(年輪など),自然現象(御神渡など)・祭事(桜花宴など)・気候災害の記録,日記などがある。全般に,300年前後の期間で大きく気候状態が変化した。長期的気候変動は7~9世紀が寒冷,10~12世紀が温暖,13~15世紀が冷涼,16~18世紀が寒冷,19世紀~現在が温暖だった。その間,数十年程度の周期の顕著な気候変動があった。小氷期中期にも,数十年周期の気候変動が卓越していた。特に15世紀末から16世紀初めの気候変動は顕著で,冬季・春季の寒冷化と夏季の湿潤化あるいは温暖化があった。寒冷化による生産条件の悪化で凶作・飢餓や一揆が頻発した。この社会の混乱は,制度改革を通して社会的変化につながったようだ。