抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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琉球列島の先史時代の遺跡からヤコウガイ(学名=原始腹足目リュウテンサザエ科)の蓋(以下,貝蓋)を用いた貝蓋切削器等が出土している。当時の人々の暮らしを解明するためには,外観観察や複製実験により用途や機能推定の裏付を得ることに加えて,切削器の素材としての貝蓋の硬さ特性を評価することが必要である。本研究では,貝蓋の外表面有機質層や断面石灰質層の硬さや弾性率の分布測定と組織構造観察,組成分析等を実施した。これらの各種検討結果に基づき,貝蓋の硬さ特性に関して得られた知見を報告した。1)貝蓋の断面は,ナノインデンテーション硬さ分布試験の結果,表面から内側へ2mmの硬さ分布はほぼHV350~420で,さらに内側の層はHV260~420と硬さの幅が広くなる。表面から20μm程度内側~4mm内側までの押込み弾性率分布は80-105GPa程度の範囲に収まっている。2)HIT換算硬さの最大値において,断面内部より表面がHV100ほど硬い値を示した。このことから,表面の硬組織が最も硬いことが明らかとなった。3)貝蓋の硬さ特性は,食品調理用切削刃物として用いるには十分な特性を有している。