抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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近年研究者の関心を集めている社会的ネットワークの理論は,「企業の行動やパフォーマンスは,当該企業を取り巻くネットワークの構造によって少なからず影響を受ける」と主張している。ただし,「では一体,企業にとって,どのようなネットワーク構造を築くことが望ましいのか?」という点に関しては,「強い紐帯」「結束型のネットワーク」が有利だとする研究がある一方で,他方では「弱い紐帯」「橋渡し型のネットワーク」が有利だとする研究があるなど,必ずしも統一的な見解が成立しているとは言い難い。本稿では,こうした一見すると相矛盾する2つの見解が,共同の研究開発活動を伴うような垂直的取引関係においては必ずしも矛盾しておらず,上述の2つのタイプを組み合わせたハイブリッド型のネットワーク構造こそが最も望ましいことを論じる。さらに本稿は,日本の自動車産業における完成車メーカとその部品サプライヤとの間の先端技術開発協業に注目して,部品サプライヤが顧客である完成車メーカと築いている取引関係のネットワークの構造とそのパフォーマンスとの関係について仮説を構築し,限定的ではあるものの実証分析を行う。本稿はその結果として,「主要顧客である自動車メーカの先端技術開発協業に参加する,あるいは当該自動車メーカの先端技術開発協業において重要な役割を果たし,なおかつ取引する顧客(自動車メーカ)の幅を広げているサプライヤは,より良いパフォーマンスを享受する傾向が見られる」ということを発見した。