抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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海上技術安全研究所では,構造用接着剤の様々な試験を行い,この分野での普及を目指している。これにより,造船工程の簡易化,船舶の軽量化といった効果を期待している。構造用接着剤は,アクリルやエポキシといった高分子の樹脂の中にゴムのような粒子を分散させた組織をもっているのが一般的である。材料を実際に使用するにあたっては,静的な弾性率の評価が重要になる。例えばヤング率は,JISに基づく試験片を作製し試験機による引張試験を行い,荷重と伸びから評価するのだが,手間がかかる。しかし,超音波を用いれば,音速と密度から弾性率の導出が可能であり,使用する試験片も小さくて済むので,実用上のメリットも大きいと考えられる。本文では,構造用接着剤の一種であるゴム粒子がアクリル樹脂に分散している接着剤に対して超音波計測を行い,複合材料的な性質が超音波の伝搬にどのような影響を与えるかを解説した。減衰係数はゴム粒子の存在により強い周波数依存性を示したが,音速に対する周波数依存性は,高周波側ではほとんどなかった。一方,静的な材料試験で得られた結果と比較すると,導出した弾性率に大きな違いがあることがわかった。これは,超音波の速度と密度から静的な場合の弾性率を評価するのは,高分子材料に関しては慎重さが必要なことを示している。