抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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2015年9月,改正個人情報保護法が成立した。この改正により,個人情報の定義が明確化されて,パーソナルデータの有効な利活用を実現する制度が整備されたことになる。一方,パーソナルデータの利活用について,経済学的視点からの検討は少ない。本稿では,パーソナルデータの利活用についての,経済学的論点について示す。パーソナルデータについて経済学的に検討する場合,共通している点は,パーソナルデータの利活用ということを,パーソナルデータの「取引」として捉えるという点である。すなわち,パーソナルデータは,「売り手(提供者)」である消費者(個人)と,「買い手(取得者)」である企業のあいだで取引される「財」であると捉える,ということである。このようにパーソナルデータの利活用を提えた場合,まず,パーソナルデータという財がいかなる特質を有しているかが検討課題となる。ミクロ経済学的には,外部性が発生する財や,公共財の場合,取引を市場メカニズムのみに任せることは望ましくないとされる。こういった観点から,パーソナルデータの取引について市場メカニズムに任せてよいのか,よくないとすればどのような制度的対応が必要となるのか,といった点に関して,財としての特質を検討する。