抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
日本には,ハシブトガラスとハシボソガラスの2種類のカラスが生息している。ハシボソガラスでは農地や水辺など開けた場所を好み,ハシブトガラスでは森林や大都市を好むため,それらの生息環境は異なっている。持ち主個体により排他的に防衛され占有される空間であるナワバリ内の環境利用を,2種類のカラスで比較することで,各々が必要とする環境要因の解明を試みた。著者の京都市内での観察結果を基に,カラスのナワバリを地図上に描き込んでみると,ハシブトガラスのナワバリは見事に餌場を囲い込んでいることが分かった。河川そのものはハシボソガラスのナワバリであるが,河川の両岸はハシブトガラスのナワバリになっている例もあった。ハシボソガラスの河川敷における餌探索は,石の裏や草の間を歩行しながら丹念に探すというものだったが,ハシブトガラスの行動は上空から餌を探すことに終止していた。地上滞在時間を比較すると,ハシブトガラスの滞在時間は総観察時間の5~10%に過ぎず,ハシボソガラスでは30~40%に及んだ。地上滞在時間,採餌行動の違いは2種の環境利用と強く関連していた。