抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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バイオマスは,豊富に存在し,且つ,コストが低いことにより化石燃料の代替法として注目されているが,その液化法として,高圧条件下で100から374°Cまでの温度で水を液体状態に維持した亜臨界水を用いた「亜臨界水処理プロセス」が提案されている。これまでに,亜臨界水処理プロセスを用いてバイオマスを有用な化学物質に変換する研究が盛んに実施されているが,亜臨界水におけるセルロースの様な主成分の変換機構については明らかとされていないが現状である。本稿では,亜臨界水を用いたセルロースとバイオマス変換プロセスの解明を目的として,セルロースの構造変化と速度論的パラメータとの関係について調査した。まず,亜臨界水を含むMCC(結晶セルロース)をステンレス製回分式反応槽に装填したら,これを毎分19.1°Cで加熱し,温度がMCC分解にもたらす影響について調査した。この結果,205°Cにおいて,MCCはゆっくりと分解を開始すると,245°CでMCC残留物が急激に減少し,その量は275°Cにおいて最も少なくなり,この温度を超えると,MCC残留物は,徐々にに増加した。また,グルコースについては,温度の上昇共に収率が増加し,275°Cにおいて最大収率18.1%に達して,これを超えると減少した。HMF(5-ヒドロキシメチル-2-フルアルデヒド)についても,同様の傾向を示し,289°Cで最大収率を示した。これらの結果を踏まえ,205~245°Cで発生する化学反応に焦点を当て,この温度領域をゾーン1(205-245°C)とゾーン2(245-275°C)に分割したら,各ゾーンにおけるMCCの速度論的パラメータを求めて,過去の文献の結果と比較した。また,217°Cから300°CまでのMCCのSEM(走査型電子顕微鏡)画像からは,260°CにおいてMCC残留物の表面が完全に崩壊して,凝集することが確認された。この凝集は,マクロフィブリル間の酸触媒分子間表面の脱水によるものである。最後に,これらの結果を総合して205-300°CまでのMCCの分解機構を提案した。この機構によれば,205-245°Cでは,MCCの表面分解が始まり,245°Cから275°Cにおいて,MCCの水素とグリコシド結合が壊れ,この温度を超えると,MCCのみならず,生成されたオリゴマーや単量体がグルコース炭等の化学物質に分解される。