抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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モバイル端末の普及に伴い,端末が創出する位置情報に関連したデータの利活用がさまざまな分野で行われつつある。しかし,それらのデータの利活用にあたってプライバシー問題が噴出する事例もある。そこで本稿ではそうしたプライバシー問題の解決・防止および,位置情報を提供する端末ユーザーの意識を理解するため,半構造化インタビュー手法を用いた質的調査を行った。インタビュー分析の結果,位置情報の利活用に関する意識を類型化できた。またサービス事業者とユーザーの間に,一方的な権力構造の発生を確認した。サービスの利便性への服従から,ユーザーはパーソナルデータの利活用への不満を持ちつつも事業者に対して抵抗する意思を失う。したがってWestinによって提案された人々のプライバシー意識の3分類,「プライバシー原理主義者」「実用主義者」「無関心」に加え,「諦め」の4分類目を示唆できた。強権者たる企業などは社会的利益の追求視点に立ったパターナリズムに陥ることなく,ユーザーの倫理観の多様性を認め,契約や倫理のフィールドにおいて真摯な態度を示すことが,ユーザーと利活用主体間における軋轢の予防・解消に求められると考えられる。(著者抄録)