抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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宮城県沿岸部の優良な穀倉地帯は東日本大震災の大津波によって甚大な被害を受けた。農地・農業用施設の復旧においては,排水機場の損壊による地区排水機能の著しい低下,塩害,地盤沈下による塩分濃度の高い地下水の水位上昇,がれきや津波土砂の堆積,作土の流失など,困難な課題が多いが,発災直後から農業土木技術者による復旧作業が進められ,現在まで約8割の農地が営農再開可能となっている。津波被災農地の復旧・塩害対策に着手するためには,排水機場の回復が必要であり,その修復にはポンプの専門家の対応が不可欠だった。塩害対策においては,暗渠排水と心土破砕(弾丸暗渠)による縦浸透法の実施が大きく貢献している。地盤が沈下した沿岸部では塩分濃度の高い地下水の水位上昇による塩害の発生が懸念されているため,地下水モニタリングで把握された地下水の水位および塩分濃度の動態から排水機場の稼働による地下水位の調整や嵩上げなどの対策が講じられている。土壌中に混入したガラス片などの小がれきの除去には除礫の技術が導入され,堆積した津波土砂の対策には反転耕が用いられている。作土が流失した津波被災農地の復旧には客土の実施が不可欠である。宮城県沿岸部では,復興交付金による圃場整備も進められており,津波被災農地の復旧だけでなく,農業の復興にも農業土木技術が大きく貢献している。(著者抄録)