抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
X(3872)の質量,幅Γ≦1.2MeV,荷電パリティーC=+は確立され,J<sup>PC</sup>=1<sup>++</sup>であることがわかったものの,依然としてその性質に関する議論が続いている。この粒子のエキゾティクな性質を理解するには,X(3872)の波動関数に敏感に依存する放射崩壊X(3872)→J/Ψγ,X(3872)→Ψ(3686)γの果たす役割を理解する必要がある。この論文では,X(3872)の放射崩壊を,単一チャンネル近似(SCA)およびチャンネル結合(CC)アプローチで調べた。後者のアプローチでは,D<span style=text-decoration:overline>D</span><sup>*</sup>チャンネルとの結合を相対論的ストリング破れ機構で決めた。SCAでは,遷移率Γ(2P <sup>3</sup>P<sub>1</sub>→Ψγ)=71.8keVおよび大きなΓ(2 <sup>3</sup>P<sub>1</sub>→J/Ψγ)=85.4keVが得られ,その比R<sub>Ψγ</sub>=Γ(2 <sup>3</sup>P<sub>1</sub>→J/Ψγ)/Γ(2P <sup>3</sup>P<sub>1</sub>→Ψγ)=0.84となった。CCアプローチでは,次の3つが等しく重要であった。(1)CC効果によるX(3872)の規格化された波動関数への1 <sup>3</sup>P<sub>1</sub>成分の混合。この混合の重みをc<sub>X</sub>(E<sub>R</sub>)=0.200±0.015と計算した。(2)部分幅を決める重なり積分においてrの代わりに多重極関数g(r)を用いること。(3)しきい値以上の他の状態と同様にX(3872)に対するグルーオン交換相互作用の選択。X(3872)に対して,グルーオン交換ポテンシャルを低位チャーモニウム状態に対するものと同じに取れば,CCアプローチで,Γ<sub>1</sub>=Γ(X(3872)→J/Ψγ)~3keVとなり非常に小さくなり,大きな比R<sub>Ψγ</sub>=B(X(3872)→Ψ(2S)γ)/B(X(3872)→J/Ψγ)≫1.0をもたらした。X(3872)に対してグルーオン交換相互作用がなぜ抑制されるのか議論し,この場合,c<sub>X</sub>(min)=0.185に対してΓ<sub>1</sub>=42.7keV,Γ<sub>2</sub>=Γ(X(3872)→Ψ(3686)γ)=70.5keVが得られ,R<sub>Ψγ</sub>=1.65となり,C<sub>X</sub>=0.215に対してΓ<sub>1</sub>=30.8keV,Γ<sub>2</sub>=73.2keVが得られ,R<sub>Ψγ</sub>=2.38となり,LHCbデータと一致する結果が得られた。