抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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現代宇宙論の最も重要な未解決問題は,宇宙論的観測に確率を付与する問題である。この論文では,基礎となる幾何を完全に古典的に扱った永久インフレーションの半古典的模型に対する測度問題を集中的に議論した。議論の大半は,古典確率空間の公理論的枠組みで行った。古典確率空間は,標本空間,事象のσ代数,および確率測度の3つの要素から構成される。測度問題は,加算無限標本空間の最大σ代数に適用した加算加法公理によって引き起こされていることを示した。観測は量子的な制限の下で行われ,そのため全時空は実質的に離散的になって対応する局所観測量の標本空間は加算になり,したがって,全時空は加算無限の標本空間である,として扱うならばこれは深刻な問題となる。しかしながら,永久インフレーションの半古典的記述においては,物理空間は指数的に膨張し,無限軌跡の標本空間は非加算になり,(将来)境界空間は実質的に連続体になる。この場合,測度問題は,連続体の軌跡に,あるいはホログラフィー的に将来境界に確率測度を定義することによって解決されうる。永久インフレーションの樹木的構造の無限軌跡の連続体に対するσ代数および確率測度は,樹木構造の対称性の下での不変性を要求することにより,単位区間のルベーグ測度によって生成されると議論した。Vitali定理によれば,ルベーグ測度に関して可測でない集合が存在する。これは,永久インフレーションでは答えることのできない確率的問題が存在することを意味している。