抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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キャピラリーバリアシステムは,相対的に細粒の土とその下に粗粒の土を敷設した単純な土層地盤をいう。通常,相対的に細粒の土として砂が,粗粒の土として礫が用いられることが多い。浸潤や再分布により表層土から降下移動してくる土中水は,両層の境界面に達したところで捕捉され,下部の礫層さらにそれ以深の地盤に浸潤していくことはない。この層の境界面上部での浸潤水の捕捉は,砂の水分保持能力が,礫層内の相対的に大きな間隙への水の移動を抑制するほど十分に大きなあいだ,継続する。本文では,これまでに進めてきた圃場および野外条件下での試験調査にもとづき,キャピラリーバリアシステムの地盤環境工学ならびにかんがい農業工学分野における実務展開の可能性について検討する。地盤環境工学分野を対象としたケースでは,危険な廃棄物あるいは極低レベル放射性廃棄物を安全に隔離・貯蔵するための盛土式廃棄物貯蔵施設を提案し,盛土試験を通して,降雨等による浸潤水を抑制するとともに廃棄物中を通過してきた浸潤水を安全に系外に排出するために導入したキャピラリーバリアシステムの有効性を調べる。かんがい農業工学を対象とした分野では,礫層の上部で捕捉された土中水が植物に効率的に利用されることから,それによってもたらされる畑地農場における節水かんがいへの適用の可能性を探った。礫層は,その下部の地下水位からの毛管上昇を抑えることができるため,かんがい圃場で生じやすい塩分集積も効果的に抑制できる。これらの検討を通して,キャピラリーバリアシステムの実務展開の可能性を明らかにする。(著者抄録)