抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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逆浸透膜(RO膜)を用いた海水淡水化技術では,長期間安定して生産水を供給できるかが問題であり,バイオファウリングを抑制することが課題である。本稿では,バイオファウリングの発生メカニズムと薬品の使用なしでその発生を抑制できるプロセスについて検討した結果と,簡易的な診断により対象海水のバイオファウリング発生リスクを評価できる方法を紹介する。パイロット試験は,室戸市の高知県海洋深層水研究所において,同研究所の協力のもとに実施した。パイロット試験装置はRO膜の前処理としてUF膜を設置したUF+ROプロセスであり,3系列並列で設置した。1系列目は深層海水を原水とし薬品無添加プロセス,2系列目は表層海水,薬品無添加プロセス,3系列目は表層海水,薬品(次亜塩素酸ナトリウム)を添加しRO膜の前で脱塩素剤(SBS)を添加するプロセスとした。バイオファウリング発生リスクの評価はKIWAが開発したバイオフィルム形成速度(BFR)を東レがより実用的に改良したmBFRを用いた。パイロット試験結果では薬品無添加でバイオファウリング発生はなかった。逆に表層水,薬品添加の場合,ATPが急激に増加して,mBFRが高くなった。エレメントを解体して膜表面を観察すると,バイオファウリングが発生していた。このことからmBFRがバイオファウリングの発生を予測する有効な手段であることを確認できた。バイオファウリング発生リスクの低減には,海水中の栄養源量を低減させることが有効であった。