抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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著者らは以前にコーパスとして学際的に利用することを目指し,地方自治体がウェブに公開している地方議会会議録を収集・成形して関係データベースに登録した。本論文では,やや改まった話しことばの記録で,各地域の方言を含む前記大規模コーパスを用いてオノマトペの分析を行った。具体的には,2010年度の約1000万文(3億語)を対象とし,形態素解析を行って『日本語オノマトペ辞典』に収録されたオノマトペを含む文を抽出した。その結果,全体の約1.7%の文がオノマトペを含み,公的な場における話しことばでも「しっかり」,「どんどん」,「はっきり」といった表現が高頻度で出現した。また,オノマトペの出現確率を地方別に比較したところ東日本よりも西日本で高い傾向があるが,特定の地方で顕著に多いということはなかった。次に,オノマトペの語義の多様性や地域差を調べるために,出現頻度が中程度の語177語を含む文を分析した。実際にオノマトペとして発言された語の語義を人手で分類し,半数以上が複数の語義で使用され,用例では辞典に記載された語義または前記語義から発生した語義が86.5%を占めることがわかった。さらに,話しことばでは高精度な形態素解析は実現が難しいので,人手によってオノマトペではないと判断された用例(非オノマトペ)を表層位置と出現位置の観点で分析した。