抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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社会経済情勢の変化に伴い,これまで公共部門が担ってきた様々な財やサービスの供給のかたちは変わりつつある。代表的な公共財である公園をはじめとする都市の緑地は,環境保全,景観形成,レクリエーション,防災などの機能はもとより近年ではヒートアイランド現象の緩和,地球温暖化対策,生物多様性確保などの機能の観点からも高い公共性をもつことから充実が求められているが,何を,誰が,どのように供給していけばいいのかを,緑地の公共財としての性格(非排除性・非競合性)の程度を緑地の種類と機能から読み解き,これを踏まえて供給のあり方について考えていく必要がある。本発表においては,まず,昨年の発表を踏まえて公共財としての都市の緑地の性質と供給についての類型を再整理し,昨年の練馬区における現状分析から各類型にあてはまると考えられる緑地について,市域が広く緑の状況もより多様であるさいたま市の事例においても当てはめることができるかを確認することによって検証を行った。その結果,地域による相違があるということは,公共財としての性質である非排除性・非競合性は,施設や空間に内在する性質として絶対的なものではなく,地域性の影響を受ける性質であるということである。非排除性は空間の管理方法による性質であり,空間の管理方法の選択は地域のニーズや市の方針によって影響を受け,一方,非競合性は空間の容量による性質であり,その容量もまた地域のニーズを反映していると考えられる。これらを踏まえると,緑地の供給のあり方は,緑地に内在する公共財としての性質を公的供給の根拠の基本としながらも,地域のより積極的な選択として検討していく必要があるだろう。(著者抄録)