抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
1。資源量が増加し,年々成熟化する森林および森林資源を活用した林業の衰退は,長年,中山間地域をはじめとする地域産業の衰退問題として,繰り返し指摘されてきた。しかし近年,各種統計を見ると,長期低下傾向が止まり,一見,森林・林業の衰退が止まったように見える。2。一方で,日本の針葉樹を中心とした人工林林業は,人口・世帯減少を考えると,引き続き楽観視できる状況にはない。3。スギ・ヒノキなどの針葉樹以外にも,森林には広葉樹やキノコ類などの多様な特用林産物があり,これらの特用林産物の活用・開発は十分には行われていない。既に,秩父ではカエデ樹液(メープルシロップ)の活用の取り組みが始まっており,引き続き,生薬原料としてのキハダも事業化の可能性がある。そのほかにも,クロモジの活用や漆への取り組みが見られるように,細々とながらも特用林産物活用の取り組みは続いている。4。特に生薬原料である薬用樹は,中国から輸入している生薬の代替ニーズがある。国産生薬の生産費用を引き下げるための施業の工夫が必要であるが,すでにニーズが顕在化していることを考えると,林業経営において取り組みやすい特用林産物といえる。5。今後のスギ・ヒノキを中心とした針葉樹一斉林経営の難しさを考えると,人口減少社会でも引き続き持続可能な地域経営を実現するために,特用林産物を活用した多様な森林経営のリスクヘッジ,収入源の多様化の可能性を考えておく必要がある。(著者抄録)