抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本稿では,研削抵抗の実験式を検討し,研削抵抗理論と研削抵抗の時間的変化の考察を行う。平面トラバース研削の研削抵抗は,接線研削抵抗F
t,垂直研削抵抗F
n,トラバース送り方向に作用する送り研削抵抗F
sで構成され,F
sは前二者に比べはるかに小さく,通常無視できる。多くの研究者により実験式が提案されているが,そのほとんどは研削条件のベキ指数関数の形になっている。切れ刃1個に働く力は切れ刃の平均切削断面積に比例すると仮定し,比例定数を「比研削抵抗」k
sと定義すると,研削抵抗は,研削幅b,砥石切込み深さtと工作物速度vに比例し,砥石周速度Vに反比例するはずである。WA砥石で炭素工具鋼を研削したときのF
tとF
nを小野らが測定した結果では,研削抵抗はtやvに比例していない。研削抵抗の2分力比,λ=F
n/F
tはtやvによりほとんど変化せず,A系砥石による研削の場合,工作物の材質によりほぼ決まる。過去に発表された研削抵抗の実験値をもとにk
sを計算し,砥石と工作物の幾何学的作動条件に関わる無次元数φとの関係を小野がまとめた結果では,k
sとφは両対数紙上でほぼ直線関係を示す。この直線の比例定数k
0を実験的に求めておけば,研削抵抗が計算できる。M.C.Shawらは加工条件を変化させて研削抵抗を測定し,工作物の単位体積を研削除去するのに必要な比研削エネルギーを求めている。切れ刃が摩耗すると研削抵抗は増加する。研削抵抗がある限度に達すると,工作物表面に研削焼けが生じ,切れ刃の逃げ面は加速度的に摩耗し,研削を継続できなくなる。砥石の結合度が不十分な場合,ある段階で目こぼれ状態になり,研削抵抗はいったん下がるが,研削時間とともに再び上昇する。研削抵抗の測定法についても簡単に触れた。