抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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光の発生や伝播を光子のレベルで操作制御することは光物理学のトピックスの一つである。また関連研究は応用の視点からも,量子情報処理を実現するための基盤技術として世界の各所で様々に展開されている。本稿では,我々がこの10年来研究を進めているナノ光ファイバーによる単一原子/光子の操作制御法について実験技術を中心に紹介する。ナノ光ファイバーとは,通常の単一モード光ファイバーの一部をサブミクロン直径(伝播光の半波長程度)まで極細化したものであり,応用の視点からは単一原子/光子の操作制御機能を将来の量子情報光ファイバーネットワークに直接的に組込み可能なことが要点である。一方,物理的には光のモード密度分布を直径が波長程度の微小なナノファイバー伝播モードに局在集中させることがその要点である。モード局在の結果,ナノファイバー近傍に配置した原子の光応答は自由空間と大きく異なるよう操作し制御することができる。典型例は原子の自然放出であり,ナノファイバー表面近傍では原子の自然放出は異方的となり,放出蛍光全光子の20%以上がファイバー伝播モードに放出される。即ち,ナノファイバー上に単一原子を配置すれば,その蛍光を量子情報処理のキー要素の一つである単一光子の列としてファイバーモード中に効率良く発生できる。また,ナノ光ファイバー近傍に原子を配置すれば,原子に共鳴する伝播光の散乱確率は大きく高まり,結果としてファイバー伝播光に対し高光学密度系を少数原子で生成できる。ナノファイバー伝播光の高光学密度原子系が実現すれば,光子レベルの超微弱伝播光を操作する共鳴非線形光学過程を様々に設計し実現し得る。更に,ナノ光ファイバー系に共振器を組込めば,異方的な自然放出や高光学密度原子系の機能は飛躍的に増強でき,物理的にもまた応用技術としても大きなインパクトを与え得る。最近では,ナノファイバー上に周期的な穴構造を直接に加工しファイバーブラッググレーティング(FBG)により反射機能を組込む技術も確立しつつあり,既に優れたナノファイバー光共振器も実現している。また直接加工法と相補的な方法として,ナノファイバーに外部グレーティングを接触させることにより,ナノファイバーにFBG機能を組込む方法も確立しつつある。...(著者抄録)