抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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日本人間工学会(JES)第55回大会において,「JESの国際貢献とこれからの国際ネットワーク」と題したシンポジウムが開催された。本稿では,そこでの講演を基にしながら,JESの国際貢献およびこれからの国際ネットワークについて,これまでの歴史的経緯,国際人間工学連合会(IEA)から見たJESの国際貢献,およびアジアにおける国際協力の可能性に焦点を当ててまとめた。人間工学という語には,エルゴノミクスとヒューマンファクターという意味が含まれている。エルゴノミクスは欧州に源を発し,ヒューマンファクターは米国を起源とする概念であり,日本における人間工学分野は当初より欧州や米国と深い結びつきがあったといえる.そして現在,JESは国際的にも重要な役割を果たすようになってきている。JESの国際的な活動の第1段階は国際社会への参加および情報の吸収であり,JESの活動を世界の人間工学ならびに関連分野の研究者ヘアピールした。第2段階はIEAにおける活動基盤をJESとして確立した段階であり,第3段階は世界の人間工学の研究ならびに教育の中心として歩を進めつつある。近隣諸国との協力については,韓国および台湾の学会との交流を長年にわたって続けてきた。2014年には,南米との交流が始まっている。一方,アジア各国は欧米に比べて地理的には近いが,言葉や文化は大きく異なる部分を持っている「近くて遠い」存在である。そのため,これまでアジア各国で人間工学がどのようにとらえられ,研究者がどういった視点で活動しているのかを知る機会は少なかった。次回の国際大会は2017年に日本で開かれる予定である。アジア人間工学デザイン連合の枠組みの中でワークショップなどを通じて,さらにアジア地域における国際協力を推進していく必要があると思われる。