抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本論文では,丸め誤差を蓄積せずに正確な計算を実現する,有理算術演算について解説した。まず,計算機で行われる機械語の整数除算命令では丸められた商を返し,正確でないことを説明した。一方,除算の分母と分子を入れ替えれば乗算と同じ操作であり,乗算は桁数を拡張可能にしておくことで正確に行える。また,扱える整数の範囲は限定されるが,計算機で正確な除算を実現する方法としてモジュラー算術演算について述べた。次に,数学教育を目的として開発された十進BASICでは有理数モードを指定すると,乗算で数値を丸めることなく,計算した結果が得られるので,1)ガウスの消去法に基づくLU分解,2)共役勾配法を有理数モードで計算した。有理数計算の教育現場では1)によって誤差の原因を見つけられることで,丸め誤差に由来する問題解決を導ける。また,2)の次元数nの問題が反復n回以下で収束して正確な解を得られることを説明する場合にも,有理数モードで内積が誤差なく計算できると正確な直交性を示すことができる。さらに,有理数計算の計算時間は桁数に依存するので,反復のたびに桁数が増加し続ける2)においてベクトルから共通因数を括り出す方法での桁数削減による高速化技法を説明した。