抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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たんぱく質に放射線を照射すると,種々の化学変化,物理化学的性質の変化,高次構造の変化がみられ,同時にたんぱく質のもつ生物活性(酵素,ホルモン,毒素)も失われる。傷害は2種類の過程でおこる。1つは直接作用で問題の分子に直接放射線が働くもので乾燥状態の試料に放射線を当てた場合におこる。溶液の場合は直接作用の他に間接作用が加わり,放射線が溶媒に作用してできる遊離基が問題の分子に働く。酵素たんぱくを不活化するのに乾燥状態では溶液の場合より多量のエネルギーを要する。低濃度の溶液や酵素の存在する場合は放射線感受性が高いこと,放射線傷害防護剤等は遊離基の関与する間接作用で説明できる。放射線によりグルタミン酸等の側鎖の脱炭酸,CN結合,SS結合の開裂,ペプチド鎖の開裂と分子内または分子間架橋の生成等の事実が化学分析でわかっている。同一のアミノ酸でもそれがたんぱく内にある時とフリーの状態とで感受性がちがう。放射線によりおこるたんぱく構造の変化は分解,分子間架橋の生成,物理化学的構造の変化の3つに分類できる。酵素が放射線で失活することは知られているが,その機構が明らかになっている例は少い。上記のいくつかの機構が重なっているのであろう。酵素たんぱく自体もいくつかの機能(例へば基質との結合,触媒作用自体,アロステリック効果等)から成立っているのだからこれは当然のことである。照射条件も放射線効果を左右する。SH化合物等の防護剤,酵素の基質,酵素と複合物を作るもの等の存在で色々の変化がみられる。ホルモンたんぱく,抗原抗体たんぱくに対する放射線効果も同様に複雑である(木方行郎):参111