抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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放射線によるDNAの機能障害の防護についてin vitroでの実験を行なった。サケの精子より得たDNAを用いて,大腸菌のDNAポリメラーゼによるサケDNAを鋳型としたDNA合成を行なわせた。DNA合成の測定は
3Hまたは
14Cでラベルしたヌクレオチドの取込みで行なった。放射線は
137Csγ線を用い,線量率は470R/minとした。防護剤としてはビス(2-グアニドエチル)ジスルフィド(GED)を用いた。28kR以上の放射線を照射するとDNA合成が抑制された。防護剤であるGEDはこの変化を防護した。GEDで防護されたDNAは7~14kR照射されたときには無照射にくらべ20~50%も多いdGMPのとりこみがみられた。蒸留水に溶解して不完全に変性させたDNAや熱により完全に変性させたDNAは放射線感受性が増加した。照射してないDNAを熱変性させても鋳型としての活性は変らないが,二重鎖の状態で照射したものを熱変性させると,変性させないものにくらべ鋳型としての機能は低下した。変性によワ放封線で誘発された一重鎖切断で生じた不活性のDNA断片が遊離されるためであろう。4つのヌクレオチドそれぞれが放射線によってとりこみの抑制される程度は異なるが,GEDはいずれのヌクレオチドに関しても防護効果を示した。CsCl密度こう配遠心法により照射されたDNAの密度を測定したら,照射により密度が高くなることが分った。この変化はGEDによって防護することは出来なかった。これは部分的な変性(および橋かけ)が生じたことを示唆している(山元こう二)