抄録/ポイント:
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病状の異なるメチルブロミド(CH
3Br)中毒症すなわち(1)せき髄後索および末梢神経障害を示した軽病例:62歳男,化学研究所員,(2)小脳および錐体路症を示した重症例:22才男,燻蒸業の2症例をもとに慢性CH
3Br中毒症の臨床像および概念について検討した.(2)の脳波の棘波傾向を伴う異常速波はその経過にみられた全身けいれん発作に対応する所見と考えられ,CH
3Br中毒に起因するてんかん領域の異常である可能性を示唆している.慢性CH
3Br症は神経症状を基本病像とし,時間的,空間的に多様な病態を示すことを特色としており,(1)の神経障害は本中毒症の徴候の多様性を裏付けている.自験例に基き慢性CH
3Br症の臨床像,検査所見,鑑別診断,病理所見,成因と治療法および慢性中毒の問題につき考察した.本邦症例54例集計検討して,そのうち慢性申毒と思われるものは約14例であった:参35