抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
近年オーキシンの移動に関する研究は数多く見られるようになったが,ふるい管の果す役割に関しては知見が少ない。そこで著者らが開発したふるい管浸出液を調べる方法を用いてオーキシンのふるい管内の移動を検討した。15cmに切った若いYucca fiaccidaの茎の一端を
14C-IAAの溶液に浸し,他の一端からの浸出液を分析に供した。浸出液の量は上端をIAAの溶液に浸した方が下端を浸した場合より少い。また,液量はIAAの濃度によって影響を受けるようであるが,ばらつきが大きく確言できない。下端から上端へのIAAの移動は,与えた濃度が高い(200μM)ときに速く,30分で浸出液中にその放射能が現れる。逆方向の移動では,浸出液中に放射能が現われるまでに75分を要する。また浸出液中のIAA濃度は下端から与えた場合は低濃度(2μM)でも210分で飽和するが,逆方向の動きは実験時間内(6.5時間)では飽和しなかった。浸出液中に現れるIAAの量は吸収されたIAA量の1%以下で,大部分のIAAは組織中に固定される。しょ糖およびマレイン酸ヒドラジドの移動に比べると,IAAのふるい管内の移動ははるかに小さい。ふるい管浸出液中の放射性物質を薄層クロマトグラフィーで分析したところ,4種の物質が分離された。そのうち1種類はIAAと思われるがその量は非常に少なく,他の3種の物質は同定されなかった(渡辺昭)