抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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枯草菌(Bacillus subtilis)の形質転換の系を用い,よう化カリ(KI),よう素酸カリ(KIO
3),よう化酢酸(ICH
2COOH)の放射線増感作用について調べた。照射には
60Coまたは
137Csγ線を用い,3x10
4R/hrまたは4×10
4R/hrの線量率で照射した。枯草菌の照射は対数増殖期の菌を0.067Mりん酸バッファー(pH7)に浮遊させ,0°C下で行なった。形質転換DNAの照射は30μg/mlの濃度で行なった。枯草菌の生残率におよぼすよう素化合物の効果は特にpHの低い溶液で照射した時にみられた。形質転換DNAを照射する時にKI(1mM)を存在させておくと生残率の時と逆に形質転換能力(アルギニン座位)の防護物質として働いた。DNAの塩基の放射線分解に対してもKIは防護的に働いた。生菌に照射し,フェノール法によりDNAを抽出し形質転換能力を調べたが,照射中(20KR)のKI(10mM)は形質転換能力に影響を与えなかった。またアルカリ性しょ糖密度こう配遠心法により検出されるDNAの一重鎖切断の数はKI(10mM)の存在により影響をうけなかった。以上のようにDNA障害はin vivo,in vitroいずれの照射の場合にもKIで促進されることがないので,KIの増感作用は一般的なDNA障害の増加によるものでないと思われる(山元こう二)