抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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多くの動物器官では,放射線照射後,種々な損傷を与えた場合と同じく,脂質代謝に変化が起りコレステリンや脂肪酸合成が増大することが知られてきたが,これは,与えられた損傷によって起る何か一般的な反応があり,それが脂質合成増大となって現われる,と考えた。放射線照射後の,コレステリンおよび脂肪酸の合成速度の増大は,正常時とは逆に補酵素AのSH基の減少を伴うことが知られており,従って,損傷後直ちに出現し,脂質合成を促進するような何か活性因子が必要となり,これを脂質中に見出される遊離基である,と仮定した。この遊離基含量は,放射線照射後24時間増大しその最大値に達する時間は,酢酸-
14Cの取り込み速度のそれとー致しており,また減少状態にも一致を見た。このことは脂質中の遊離基が,放射線照射後の脂質合成速度の調節に役割を演じている,と想像する根拠となっている。肝臓における脂肪酸の合成は,アセチルCoAとマロニルCoAとの縮合,炭酸ガスの放出,次いで縮合産物の還元によって起るが,脂肪酸,コレステリンの生合成における遊離基の作用は,縮合産物の還元段階で起る,と考えている。今後,この遊離基をさらに研究すれば,放射線照射後起る,脂質合成速度の変化における生化学的機構を説明することができるようになる,と考えられる;参56(山口春樹)