抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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放射線を利用したグラフト反応の一つの興味深い試みとして,ポリアミドのような疎水性のポリマと親水性のビニルポリマを結びつける可能性がある。それによって幹ポリマの機械的性質を変えることなく,染色性等を改良することが期待できる。この報文では,幹ポリマとして66ナイロンを選び,親水性モノマとしてアクリル酸およびマレイン酸を取り上げた。グラフト反応は,モノマ中で膨潤されたナイロン繊維に直接放射線照射する同時照射法によった。グラフト量は重量法およびCOOHの滴定法によった。グラフト物のNa,Ca塩はそれぞれNa
2CO
3,Ca(CH
3COO)2の水溶液を加えて作った。マレイン酸はホモ重合しないので,グラフトの長さは,モノマ単位1個と考えられる。重量増加よりグラフト分布を計算すると10
6gのポリマに500個のマレイン酸ユニットが存在する。アクリル酸の場合には,グラフト共重合物を加水分解し,ポリアクリル酸としてその分子量を測定したところ2~4となり,かなり分子量分布が広い。これは幹と同時に枝にもラジカルが生ずるためと考えられた。引張り強度は,グラフトによりほとんど影響されない。弾性率は酸およびそのカルシウム塩では増大するが,Na塩では減少する。これは水素結合と,Caイオンによる架橋のためである。親水性を調ベるためリゲイン(moisture regein)と相対湿度の関係を調べると,グラフトによりリゲインを羊毛および木綿なみに増大させることが可能である。乾燥状態でのしわ回復は幹ナイロンと大して変らないが,湿潤状態ではアクリル酸ナトリウム塩グラフト物のしわ回復が著しい。これはグラフト間のイオンカによって説明できる;図9表3参8(石〓顕吉)