抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究はアクセスマップや観光案内図などに用いられる,地形を簡略化した略地図について,読み取り易い形状の調査及び視線計測を含む評価方法の検討を目的としている。研究を進めるにあたり,以下に挙げる分類のモデルを作成した。・分類1 A)実際の地形を使用した簡略化,B)直線を用いた簡略化,C)直線に曲線を加えた簡略化。・分類2 A,B,C)道の太さに強弱をつけた場合,A’,B’,C’)道の太さを一定にした場合。それぞれの形状に対し,被験者を対象として次の項目の評価実験を行った。・読み取りやすさの主観評価,・形状毎の注視時間の計測,・形状毎の注視点の計測。実験の結果,形状に関しては,直線を用いた簡略化の主観評価が高い結果となった。直線を用いる事により,交差点への注視が促され,結果注視点が広く分散し,全体の把握が容易になるものと考えられる。直線に曲線を加えた簡略化は注視点の動きは直線のものと近いが,今回の実験においては曲線である事の優位性は見られず,本研究においては注視時間も含め,評価が低い傾向にあった。また,同じ構造を持つ略地図において,線の強弱は形状を問わず読み取りやすさを向上させる結果となった。これは,線の太さの差やその交差によって注視点を動かす際の優先度が決まるため,道同士の関係が容易に把握されていたためと考えられる。形状や線の太さに加え,更に読み取りやすさに影響している要素として,道筋の設定が挙げられる。今回の実験では,線の強弱がない場合においては,形状や線の太さほどの影響はないものの,道筋の違いによって主観評価に大きく差が出ていた事からも明らかである。特に,線の強弱がない場合では距離の長さよりも,複雑さの少ないシンプルな道筋を設定することが,読み取りやすいと判断された。情報の構造が同じ位相的な略地図形状の変形に対して,被験者がどの交差点或は道を選択するかを明らかにするためには,主要な交差点への注視を計測した本研究の手法は有効であったと考えられる。(著者抄録)