抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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アメリカやイギリスの諸都市,また東京等において,資本主義の脈動,市場的企図の展開に基づく「ネオリベラル都市開発(neoliberal urbanization)」が,単なる新自由主義思想としてのみならず,「現実に存在するネオリベラリズム」(N・ブレンナーとN・シオドーア)として,ジェントリフィケーションを含め都市の景観,経済循環,さらには人々の生活圏の様相に浸透し変化させている。他方で,PPP,CDC,またPDAといった,エリアマネジメントにかかわる新たな手法が,エリアマネジメントの動向として,「都市経営のパラダイムシフト」として1980年代,とりわけ1990年代移行起こってきている。本稿は,この視座に立って,1)ネオリベラル都市化に対して,エリアマネジメント組織はどのような機能を持ち得るのか(エリアマネジメント組織の有効性)という問いと,2)さらに自治体としての法的ステイタスを与えられたエリアマネジメントのケース(公共開発機構:PDA)でどのようなことがおきるのか(自治体としてのエリアマネジメント組織の有効性),という問いを立てた。その解明のために,「ネオリベラル都市開発」に関連するエリアのデモグラフィ動態の把握を通じ,そこにおけるエリアマネジメント,とりわけ公共開発機構が,生起している地域からの住民の退去(displacement)に対してどのように有効であるのか(あるいは有効でないのか)に迫った。そこで,1)シアトル市域を対象として,デモグラフィ変動と住宅費用負担を指標として,居住のデモグラフィックな著しい変動の生起(同市セントラルディストリクトでの高所得白人の激増と,既存の黒人の地域からの「退出」問題)を確認した。2)有色人種の退出が少ない同市インターナショナルディストリクトを検討し,アドボカシー団体を核とした諸組織のネットワーク化と,高齢者事業等地域サービスの運営組織としてのエリアマネジメント組織(SCIDpda)の創出が,長期スパンでアジア人低所得者・高齢者など住民達の移動退出を防いできたことを明らかにした。...(著者抄録)