抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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居住空間の安全性確保を目的として,横浜市内の公共建築物18施設と,横浜市およびその周辺地域にある一般住宅77戸の屋内・屋外において,空気環境中の広範囲にわたる化学物質を測定することが可能な各種拡散サンプラーを用いたガス状化学物質の測定を行い,夏季および冬季における汚染の実態把握を行った。公共建築物18施設においては夏季および冬季の屋内・屋外とも本研究で調査対象とした化学物質のうち,厚労省が策定した室内濃度指針値および暫定目標値を超過した物質はなく,室内空気質は良好であると考えられた。一方,一般住宅屋内においては77戸中で夏季15戸(19%),冬季4戸(5%)の住宅にて何らかの物質の濃度が指針値等を超過した。このなかには複数の物質が指針値等を超過した一般住宅もあった。また,今回調査を行った公共建築物と一般住宅の室内環境について比較を行ったところ,公共建築物の室内空気中化学物質の総和の平均値は一般住宅の53%(夏季)および43%(冬季)であり,公共建築物における化学物質の屋内濃度の総和は夏季,冬季とも一般住宅より有意に低い値を示した(いずれもp<0.01)。さらに,一般住宅の中から公共建築物18施設の勤務者自宅24戸を抽出し,職場および自宅の各室内空気質に在室時間を併せて検証することで,個人の一日暴露量の評価を試みた。今回の調査においては公共建築物屋内よりも一般住宅屋内で高い濃度を示した物質が多かったために,在室設定時間が加味された結果,自宅の室内空気質の影響がより大きくなっているケースが多かった。その一方で,オゾンについては屋外で過ごす時間を一日のうち1時間と短時間に設定したにもかかわらず屋外空気質の寄与が大きく,特に冬季においては屋外からの暴露の方が屋内からの暴露よりも大きいと算出されたケースが3分の2の割合にのぼった。(著者抄録)