抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
極易脱粒性は岡山県の水稲奨励品種‘朝日’の減収要因とされている。本研究は,‘朝日’の脱粒性のみを改良した同質遺伝子系統の育成を実現するために実施した。本研究では,まず,現在岡山県で栽培されている‘朝日’の来歴を論じると共に,これまでまとまった形で公表されていなかった岡山県における‘朝日’の育成経過を示した。つぎに,脱粒性の選抜を容易にするため,簡便に脱粒性を評価する方法として穂の握り締めによる方法に着目し,脱粒性を正確に評価するための評価指標と調査に際して一度に握る穂数並びに調査株数を明らかにした。さらに,脱粒性の間接選抜に有効な標識形質の探索を目的に,籾の脱離様式と小枝梗における脱離部の形態に着目し,脱粒性との関係を明らかにした。また,ヘテロ型反復自殖法で育成した脱粒性準同質遺伝子系統群を用いて,主働遺伝子と遺伝的背景が脱粒性程度に及ぼす影響を検討した。そして,本研究で得た知見から,‘朝日’の脱粒性のみを改良した同質遺伝子系統の育成について考察した。1.‘朝日’の来歴と岡山県における純系選抜。1908年から1909年の間に京都府において‘日ノ出’から‘旭’が選抜され,1917年に京都府から岡山農試に‘旭’が導入された。岡山農試では8年間の品種比較試験を経て,1925年から‘朝日’を純系選抜試験に供試し,1931年に‘朝日47号’を選抜し,現在の‘朝日’として受け継がれている。1920年代当時の稲作栽培に適応する選抜を行った結果,‘朝日’の脱粒性は極易になったと推察された。2.穂の握り締めによる脱粒性の検定と主要水稲品種の脱粒性。難脱粒性の‘コシヒカリ’,‘日本晴’及び‘ヒノヒカリ’,中脱粒性の‘吉備の華’,やや易脱粒性の‘雄町’,易脱粒性の‘アケボノ’,極易脱粒性の‘朝日’を供試して,一度に握る穂数を1株当たり1穂,3穂及び5穂の3通りとし,4人の調査者がそれぞれ50株を測定したデータに基づき,脱粒性を正確に評価するための評価指標,一度に握る穂数及び調査株数を検討した。その結果,評価指標は脱粒割合を用い,1株当り3穂を一度に握り締め,1品種当たり40株以上を調査して脱粒割合の平均値により評価するのがよいと考えられた。なお,個体検定では脱粒し難い個体か脱粒し易い個体かの判断しかできず,中から極易の階級は一括りに脱粒し易い個体と判断された。...(著者抄録)