抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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日本の気候環境はアジアモンスーンの影響を強く受け,多彩な季節サイクルを示す。これが日本の古典文学,美術,音楽の作品成立の背景となっている。筆者らの研究グループでは,季節感の微妙な違いに注目できる「季節の遷移期」も教育の題材として取り上げ,気象と気候を軸とした学際的な教育プランの開発を行ってきた。本論文では,「秋から冬」と「冬から秋」のような季節の進み方の違いを意識して,制作(美術)と創作(音楽)の教育を行った結果について報告した。最初に西高東低の気圧配置に代表される初冬,春一番のような温かい日もある早春の気象・気候の特徴について述べた。次に「秋から冬へ」と「冬から春へ」の季節の移り変わりを意識した美術の創作活動結果を示し,その表現方法の特徴(暖色系あるいは寒色系,題材等)について解説した。音楽の創作活動については,打楽器の音のイメージ(明るさ,鮮やかさ),「秋から冬へ」と「冬から春へ」の図形譜を示した。また創作活動で使用した打楽器の音の周波数スペクトルを示し,音の感じ方とスペクトルの特徴について分析した。最後に再度実施された美術の制作活動について,学生が使用した色について分析し,以下の結論を得た。美術から音楽,音楽から美術の各ステップで,季節が向かう方向が予感される表現があった。「秋から冬」と「冬から秋」の比較を意識することで,学生は季節の進行方向の違いについての科学的知識と本人の感覚と季節感を繋ぐものが見えてきたと考えられた。