抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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新鮮な海塩エアロゾル(SSA)粒子中のNaClは,大気中のNO
x/HNO
3と部分的ないし完全に反応でき,内部混合したNaClとNaNO
3エアロゾル粒子は広範囲の混合比で共存できる。実験室系で形成させた10の混合比率(NaClモル分率(X
NaCl)=0.1~0.9)のマイクロメータサイズのNaNO
3の混合粒子についてその吸湿挙動を調べ,潮解とエフロレセンスの実験状態図を得て,エフロレセンス機構を理解するため系統的に調べた。加湿過程でeutonic組成(X
NaCl=0:38)のエアロゾル粒子は,それらの互いの潮解相対湿度(MDRH)67.9(±0.5)%で一相での遷移だけを示した。一方で,他の混合比の粒子は2つの異なった潮解遷移,すなわちMDRHで溶解したeutonic成分,そして混合比に依存しそれらのDRHsで完全に溶解する固相中の残余を示し,熱力学的に予測されるように,4つの異なる相からなる状態図をもたらす。脱水過程で,NaClに富む粒子(X
NaCl>0:38)は,二段階のエフロレセンス遷移,すなわち,第1段階はNaClの均一核形成のみで進み,30.0~35.5%の範囲のeutonic成分の相互エフロレセンスRH(MERH)の第2段階を示した。興味深いことに,eutonic組成(X
NaCl=0:38)のエアロゾル粒子も,初めのNaCl晶出とそれに続くNaCl種上での残るNaNO
3の不均一核形成という二段階エフロレセンスを示した。NaNO
3に富む粒子(X
NaCl≦0:38)は,NaClの均一核形成とほぼ同時のNaCl種上でのNaNO
3不均一核生成による,次第にMERH以下となるERHsでの一段階エフロレセンスで遷移した。SEM/EDX元素マッピングは,すべての混合比でのエフロレセンスで生じたNaCl-NaNO
3粒子が,eutonic組成(X
NaCl>0:38で),あるいはNaNO
3(X
NaCl ≦0:38で)に囲まれた均一晶出したNaCl中心を示した。加湿ないし脱水過程で,それぞれMDRHないしMERH(第2ERH)で,eutonic組成部の量が,粒子/液滴成長ないし収縮を促進し,純粋な塩(NaCl-ないしNaNO
3-に富む粒子中のNaClないしNaNO
3)の量は,それぞれ第2のDRHsないし最初のERHsを促進する。したがって,これらの挙動は粗く反応した無機SSAsを代表するこれら大気中の混合物粒子の光学特性と直接放射強制力への先駆けとなる。さらに,NaCl-NaNO
3混合物エアロゾル粒子は,SSA代理としての純粋なNaCl粒子より広範囲のRHで水相を維持でき,不均一反応の可能性を高める。(翻訳著者抄録)