抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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県森林研究所が育成した「岡山甘栗」について,その栽培化に向けた基礎調査の中で,以下の点が明らかになった。新規植栽地調査の結果,植栽2年間で,岡山1号では,接木部位上部及び下部の直径はともに30~35mm,樹高は150~200cm,岡山3号では接木部位上部及び下部の直径は25~30mm,樹高は200~250cmの範囲の頻度がそれぞれ最も高かった。植栽後2年が経過した時点の年平均樹高成長率(H-RGR)は,岡山1,3号ともに,植栽1年,2年目では30~40%台の頻度が相対的に高かった。水田跡地に植栽した事例では,植栽2年目に,凍害の被害率は55.5%を記録した。植栽方法として,直接,現地に播種し,これに接木を行った場合,接木苗を植栽した場合に比べ,樹高成長,地際直径成長が促進されることが明らかになった。シカによる加害は,4~5月の新芽,展葉時期に集中し,一部,激害地では,全個体の93.8%が1回以上,49.6%が2回以上被害を受けていた。獣害対策では,シカ被害防止として,中古のノリ網を活用し,高さ2m程度までを想定したシカ対策用柵の設置が被害抑止の面からも有効であった。キセニアによる渋皮剥離率は,受粉樹となるチュウゴクグリを5m程度,ニホングリ個体からの距離を最低30m以上とした場合,渋皮剥離率はほぼ100%期待できるのに対し,ニホングリ個体が5m程度にある場合,渋皮剥離率は50%程度に急落することが判明した。受粉樹が利平グリ(日中交雑種)である場合,渋皮剥離率は,受粉樹がチュウゴクグリとニホングリの場合のほぼ中間値に位置すると予想された。台木試験では,岡山1号と比較し,岡山3号をシバグリ台木に接木した場合,活着率が低く,かつ生育も不良であった。当研究所内の実証園において,クリの収量調査を行った結果,樹齢5年以上で,岡山1号が200kg,岡山3号が150kg以上期待できることが判明し,経済栽培の可能性が示唆された。無せん定により,岡山1号では,果実の小粒化傾向が確認された。(著者抄録)