抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究は森林・林業の分野であまり検討されてこなかったインドネシアの石炭開発について,東カリマンタン州西クタイ県を事例に1)石炭開発の現状,2)焼畑民の開発に対する対応・認識と生活への影響を明らかにし,森林と焼畑社会の今後の課題を検討した。石炭開発の現状として,「非林地」では鉱業事業許可が乱発行されていた。全ての石炭企業が露天採掘法を採用しており,今後大規模な森林減少,地域社会の改変が生じる可能性が存在した。村人は原生的森林が広がる「林地」の石炭開発を土地に対する補償金獲得のチャンスと認識し,企業進出地域で焼畑などを行い,慣習的土地所有権を主張していた。「林地」の森林保全には採掘許可の制限や生態系サービスへの支払い等の代替策が必要であると考えられた。一方,村人が資源利用を行う「非林地」では,現在の生活を維持するために石炭開発を拒否する意向でいた。今後,「非林地」では村人と企業の間で土地交渉が行われるだろう。また,石炭開発の多額の補償金は地域の経済・社会を変化させつつあった。森林・林業研究者も石炭開発をめぐるガバナンスに参画し,森林と村人の利害に関わる情報を提供していく必要がある。(著者抄録)