抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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著者らは日本製紙の研究所において,サーモメカニカルパルプ(TMP)製造工程のチップ前処理としてキレート剤や苛性ソーダを用いることで,漂白性が著しく向上し,晒薬品が節減され,TMP最高白色度が上昇することを明らかにした。一方,米国の新聞用紙工場ノーパックではTMP製造工程において,一次リファイナー後の原料をスクリーン処理することによって,パルプ化された繊維を分級して二次リファイナーをバイパスさせ,省エネを図るインターステージスクリーン技術の工場テストを行っていた。しかし,バイパスによってアニオントラッシュが抄紙機に持ち込まれ,抄紙機でのピッチトラブル等の弊害が発生し,このプロジェクトは中止になっていた。また,ノーパックでの抄造品種転換ニーズや,北米での植林事情等により,大量に持続的に入手できる安価なダグラスファーチップを使用できれば,大きなコストメリットが得られる可能性があったが,ダグラスファーは過酸化水素との反応性が低いことなど,乗り越えなければならない大きな壁があった。著者はノーパックに転勤し,前述のチップ前処理とインターステージスクリーンを組み合わせることでピッチトラブル等の課題を解決できると考え,パイロットプラントテストを実施して2009年に有望な結果を得た。そしてノーパックは2012年に実機設備を導入し,大きな省電力効果を達成するとともに,高白色度中質書籍用紙の製品ポートフォリオを拡張した。日本で研究を開始してから12年の歳月を経て,米国でプロジェクトは成功裡に終了した。(著者抄録)